高校留学を実現させ、未経験業種・業界の外資系企業に転職し、思いもよらずカナダ人と国際結婚して幸せに過ごしているぐらいには語学・英語が好きだ。
そんな私が特に好きな英語のフレーズがある。
You deserve it!
いかにも英語らしい表現で文脈によって日本語訳が変わるのだが、deserveには「〜〜する価値がある、〜〜するにふさわしい」という意味がある。
例えば、友人が大きなピアノコンクールを前に日夜熱心に練習を重ねて、見事優勝したとする。そんな時、祝福の言葉とともに"You deserve it!"とサラッと言えたらかっこいい。この場合は「(一所懸命練習していたのを知っているから)君は優勝にふさわしい」という意味。
賞賛と尊敬に加え、これまでの努力をちゃんと見ていたことをさり気なく伝えられる、大人の誉め言葉だ。
ビター・スイートな思い出
大好きな一方で、このフレーズとセットとなって思い出す苦い記憶がある。
大学時代の親友が、幼少期から高校までアメリカ育ちのいわゆる帰国子女だった。英語もほぼネイティブ・性格もオープンな彼女と私は、似ているわけではないけれど何となくお互いに興味を持ち合い(?)仲良くなるのに時間は掛からなかった。
件の"You deserve it!"は、彼女が好きな英語のフレーズとして挙げていたものだった。その理由を聞いてすごく彼女らしいなぁと感じたし(詳しくは覚えてないのだけど、たぶん私が前述したようなことだったと思う)、なんというかそんな話ばっかりしてて楽しかったのだ。
若者の失敗
しかしその親友とは、大学を卒業する前に絶交のような状態になってしまった。
原因は私がつまらない、それでいて彼女を深く傷つけることを言ってしまったからだ。当時の私は尊大で自信過剰で、何をしても許されると勘違いしている甘ったれた人間だった。
過ちに気付いた後何度か関係を修復しようと試みたが、あれだけオープンだった彼女の心は一度閉ざすと頑なだった。私はその時、大切に扱わねば二度と取り返せないものがあることを、遅すぎるけれど初めて知ったのだった。
それぞれの道
高すぎる代償だったが、そこで得た教訓は今日の私を真人間にしてくれている。
いま私の周りにいる友人や大切な人は、数は多くないけれど本物だと疑いなく言い切れる。そして彼らとの関係を、永く大切にしていきたいと思っている。
もしこのブログを彼女が読むことがあったとしたら、もう一度心から謝りたい。本当にごめんなさい。あの時の私は恥ずかしいほど若くて、青くて、そして弱かった。
そして今さら許してほしいなんてことも思わない。人の心がそう簡単に変わらないこと、それ以上に既にお互いの幸せに向けて歩みを進めまくっていて、振り返る時間もないということを。関係が壊れてしまったあの日以降は、残念だけど、お互いの人生に不要な存在であったということを。
だからこそ、彼女の幸せを願う。私が願うまでもなく、ひまわりのように彼女は幸せを享受しているはずだ。
Because you deserve it!