先日久しぶりに、公開初日に劇場で映画を観てきました。
というのも、2年前に読んで深く心に残る作品となった、平野啓一郎さんの小説『マチネの終わりに』 が映画化されるということで、かれこれ1年ほど楽しみにしていたのです。
以下映画の感想をネタバレありで綴りますので、未見の方はご注意を!
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原作の良さが半減
結論から言うと、原作の精緻な心理描写に実写がいろんな意味で追い付いておらず、 残念な仕上がりでした…。
特に2回目のパリでの再会時に「洋子さんが死んだら僕も死ぬ」と言うシーンは、展開が分かっていても唐突すぎたので、原作未読の人は尚更だろうなぁ。
マチネの終わりに、公開初日に観てきた!うーん、原作読んでからしばらく経ってるけど、平野さんが丁寧に描いた心の動きが抜け落ちてて感情移入が難しかった。あとネタバレ注意ですが、最後「それは映すなよ、映すなよ」と思ってた物が映されて興醒め😱ヒント:それは福山の目線だけで分かるからあぁぁ
— Casey@外資系OLの眼鏡 (@lifeisajanico) 2019年11月2日
↑このツイートで言いたかったこと:
ラストのNYでのコンサートで、客席に洋子がいることは見るからに明らか(蒔野の目線、"for you(あなたに贈ります)"の言葉 etc.)なので「そのままラストのセントラルパークでの再会シーンにいってくれよ、客席の洋子を映すなよ、映すなよ…」と完全に上島になって願いました。
が!不自然なほどゆっくりとパンしたカメラが映し出したのは、客席後方でご丁寧に涙も流しておられる洋子!!
製作がFテレビという時点でちょっとイヤな予感はしていたのですが、邦画や日本の連ドラにありがちな、過度に説明的な作風が苦手ということを再確認。
早苗は良かったです
原作では早苗はややふっくらした女性という設定だった気がするのですが(違ったらすみません)、早苗役の桜井ユキさんは全くそうではありません。
が、あの「序盤は恋愛感情が生まれそうもない雰囲気から、終盤は確かに蒔野は早苗を愛していたと納得できる魅力」を見事に演じ分けていました。
肝心のなりすましメールを送るシーン。原作での手に汗握る蒔野・洋子・早苗、三者三様の激しい心の動きが、これまた映画では表現不十分だったと感じました。が、早苗の只事ではない心理状態は伝わってくる演技でした。
思わぬ難所
冒頭の過去記事でも書いた通り、原作から勝手にイメージしていた実写版蒔野&洋子は、なぜか私の中で斎藤工と小池栄子でした…。
まぁ本作では語学力もキャスティングの重要な要素だったと想像します。その点では、特に石田ゆり子さんのフランス語は流暢に聞こえました。というか似合う。
ただ…!!フランス語と英語は良いんですが、石田さんの日本語での台詞が棒に感じすぎて、内容が入ってこなかったんです。
東京生まれ・東京育ちの知人友人も複数いますが、彼ら日常で「そうだわ」とかなかなか言わなくないですか?随所で引っ掛かってしまいました。
読書の秋なので
とは言え、原作を読んでからしばらく経過しているので、記憶とのギャップを埋めるためにも文庫本で再読しようかな。
文化の日の連休は、本の虫になるのも良いかも知れません。