外資系OLとブログタイトルに謳っていながら、お仕事の詳しい内容についてあまり書いたことがありません。
退職を機に、書ける範囲で有益そうなことは書いていこうと思います。
プロフェッショナルファームとは
狭い業界なので詳しい業種は伏せますが、私が勤めていたのはプロフェッショナルファームと呼ばれる種類の会社です。
世の企業は大きく事業会社とプロフェッショナルファームに二分されます。かく言う私も転職するまで知らなかったのですが、簡単に言うと:
- 事業会社=自社の事業(プロダクトの製造販売やサービスの提供)を持つ会社
- プロフェッショナルファーム=自社の事業を持たず、専門性の高いサービスを組織または個人に提供する会社
という性質の違いがあります。
さらに言えば、事業会社がモノ(サービス含む)が資本であるのに対して、プロフェッショナルファームはヒトが資本です。
ここで、両者にサービスという言葉が登場するので困惑しますが、例を挙げます。
東京ディズニーリゾートは、株式会社オリエンタルランドという事業会社が提供する、テーマパーク運営というサービスです。
対してプロフェッショナルファームのサービスとは、専門知識を使って顧客に提供する付加価値そのものを意味します。
具体的にはどんな会社があるの?
「プロフェッショナルファーム」とググってトップに出てきたこちらの記事から引用すると:
弁護士事務所・会計事務所・税理士法人及びその他のコンサルティング会社などのこと
とあります。
比較的イメージしやすい戦略コンサルの他、専門職と呼ばれる人々が所属する企業と言えば分かりやすいかも知れません。
私も最初「社会人ってお金もらって仕事してるんだからみんなプロでしょ」と思っていましたが、ここで言うprofessionとは、ある分野における専門知識のことです。
私@プロフェッショナルファーム
前置きが長くなりましたが、そんなプロフェッショナルファーム(以下PF)で働くことになった私氏。前職でMRとして働いていた製薬企業はもちろん事業会社です。
日系→外資、事業会社→PFと、2つの面で大きく働き方や価値観の異なる組織で働くことで、社会人としての振り幅はかなり広がりました。激震もありましたが…笑
そんな私が身を以て感じた、PFの主な特徴をご紹介します。
一人ひとりの裁量権が大きい
ヒトが資本と言えば聞こえが良いですが、少数精鋭のリソースで大きな成果を求められるので、各人がアウトプットを最大化することを期待されます。
いちいち上司のOKを待つより、「こう考えたのでこうしました」と自律的に動く方が評価されます。自分なりの論理に基づいて行動した結果、怒られたことはありません。
ただし対クライアントに関しては、上司やチームとの確認・摺り合わせが重要です。前述記事にもある通り、モノやサービスを売らないプロフェッショナルファームにとってはクライアントの目に触れる成果物が全てだからです。
業務内容が明確
外資系=他者を蹴落としてでも自己主張しないとやっていけないイメージが多少なりともありました。
しかし実際には海外も含め、むやみに権利主張や他者批判をする人は相応の低評価を受けるし、むしろソフトなインターフェイスも武器の一つという印象です。
ただし、自分がすべき職務とその成果に対しては、明確に定義します。
グローバル企業では就職にあたり、JD(Job Description=職務記述書)に事細かに明記された下記のような内容に同意して、入社します:
- 担当業務
- レポートライン(=直属の上司)
- チームの人数
- (管理職の場合)部下の人数とそれぞれの業務内容
- この会社でどういう成果と責任を求められているか
ゆえに、JDに書いていないことは一切やらないというマインドセットが基本。専門職の集まりであるPFはよりその傾向が強いです。
別に無責任なのではなく(一部そういう人もいますが…)、自分の持ち場を超えて仕事をする=他の誰かの持ち場を侵すという考え方に基づいているように思います。そもそも、自分の持ち場で最大のアウトプットを出そうとしたら、本来人の仕事に手を出せる余裕はないはずです。
日系企業では、他者の仕事を手伝う人が(アピール含め)評価される場面も観測されますが、外資系PFでは業務範囲を明確に定義し、その成果を正当に主張することが善とされます。
上下関係がゆるい
個人的に一番インパクト強かった要素です。笑
欧米では上司をファーストネームで呼ぶイメージがありますよね。日本法人ではさすがにさん付けながらも、同様の雰囲気があります。
一回りどころか親ほど年齢が離れたパートナーレベルの人とも、同じゴールを目指して共闘する専門家同士として、対等に意見を求められます。もちろんそれは厳しさでもあります。
象徴的だったのが、転職して間もない頃「そんなに卑屈な感じで話す必要はない」と言われたこと。元営業の私は、無意識のうちに遜った話し方をしていたようです。
上司や先輩を立てることが良しとされる日系企業出身ということもあり、前職ではそれで正解だったかも知れません。しかし、外資系PFでは舐められたり、信頼を得られなかったりすらする。
それ以降、コミュニケーションスタイルを意識して変えました。自分では生意気ぐらいがちょうどいいみたいです。笑
「どう働きたいか」によって選ぶ
このように書くとPF礼賛のように聞こえるかも知れませんが、そうではありません。
新卒で入社した事業会社では、社会人の基礎と、どこでも通用する最低限のコミュニケーション能力を育ててもらったと思っています。
私が勤めていた外資系PFでは中途採用のみですが、もし新卒でここに入社したとして「どこに出しても恥ずかしくない」社会人が出来上がるとは個人的に思いません。爆
新卒・中途問わず、就活においては業種や職種とともに、事業会社とプロフェッショナルファームという軸も考慮に入れてみると、自分が求めるキャリア・働き方がより明確になるかも知れません。