元外資系OLの眼鏡

カナダ人と結婚5年目。カナダ・ケベック州モントリオール郊外在住。国際結婚のリアル/海外移住生活/日々の気づきなど、のびのび更新中。

【映画】湊かなえ原作『白ゆき姫〜』を観た個人的な感想【プライムビデオ】

週末温泉旅行で泊まったお宿がめちゃくちゃ良かったので早くレポしたいのですが、その前に行き帰りで読んだ作品も面白かったのでレビューを。

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

 

電車に乗る前、旅のお供にと本屋に飛び込んで物色したものの目ぼしいものが見つからず、湊かなえさんのイヤミスは外したことがないので手に取ってみたところ、やっぱり冒頭から引き込まれる。

読後のやられた!感は『リバース』『告白』等には及ばないものの、ちゃんと犯人探しのミステリー要素あり、参考資料という名の新しい試みあり、旅の往復で読み終える程のエンタメを提供してくれました。

映画化もされており、帰宅後に検索したところプライムビデオにあったのでさっそく観賞。この記事は主に映画版について書きます。

白ゆき姫殺人事件

白ゆき姫殺人事件

 

 

なお完膚なきまでにネタバレしていますので、未見の方はご注意を!

 

 

 

あらすじ

数多のレビューサイトに書いてるのでそちらをご参照ください(雑)。

こちらの記事でも書いた通り、細かい説明ではなく、私の超個人的かつ主観的な感想をだらだらと述べていきます。

 

キャスティングについて

城野美姫(井上真央)

読後に映画のアイキャッチ見て、この役に井上真央は可愛すぎてダメでしょ〜と思ったものの、ちゃんと地味なOLに見えた!

さすが女優と思う一方で、髪型と服装でいかにイモく見えるかという好例です。

 

三木典子(菜々緒) 

原作を読みながら、知り合いに三木典子のイメージにぴったりの知人を当てはめて読んでいました。その人は美しくて実際に素敵な方なのですが、彼女がもし裏では性悪だったら本当にショック…!と感じる面でも適役です(勝手にごめんなさい…笑)。

その点、菜々緒は悪女役のイメージがついてしまってる分、最初から展開が読めてしまうのが残念。映画公開当時(2014年)はまだそこまで*1だったので仕方ないかな。

じゃぁどの女優ならいいんだと言われると難しいんですが、あえて言うなら石田ゆり子さんをロングヘアにしたイメージ。あの天使のような表情で、本当はイヤな女だったら信じたくないでしょ?笑

 

狩野里沙子(蓮佛美沙子) 

蓮佛ちゃん、怖っ!!

あのふざけたマッシュルームカット(失礼)とのギャップと相まって、最後の犯行シーンは「こんな普通そうな子が…」という怖さがありました。刺し方も、井上真央の再現シーンと違って感情がなく淡々としてましたね。

冒頭、綾野剛に電話するシーン〜自宅で取材を受けるシーンの台詞回しは少しまどろっこしいですが、導入の重要な場面なのでいたしかたないか。

その代わり、課長に怒られて菜々緒が庇ってくれる時に見せる表情が、全く同じなのに前半は「典子さん…☆」という憧憬の表情、後半は「え?アンタが入れたんだろ…?」という軽蔑の表情に見える匙加減が絶妙でした。

 

男性陣 

まとめちゃいましたが、綾野剛はしっかりと若い薄っぺらい男を演じてました。冒頭PCでツイートするシーンで、タイピングが遅いのがやや気になりましたが。

篠山係長に関しては、こちらも読みながら知人男性を当てはめていたんですが(知らんがな)もう少し伊藤英明っぽい、一見誠実そうにも見える人の方が「城野美姫と付き合ってたのは本当?嘘?」と混乱して良いかなぁと。金子ノブアキさんはいかにも過ぎる。笑

 

その他チョイ役 

里沙子の会社の同期であるみっちゃんも、新卒の女の子にいそうな雰囲気&舌足らずな話し方ながらも噂話となるとぺらぺら饒舌になる感じが良かった。

個人的に最優秀助演女優賞は、中学の同級生で、美姫の呪いの力を綾野剛に話す二人!

どちらも自然で、こういう同級生いそう感がすごい。特に大きなピアスのいかつめの子!いるいる!笑

原作では週刊誌が担っていた役割を映画ではワイドショーが担っていて、その内容は「さすがにそれはないやろ〜」と突っ込みどころ満載でしたが、その司会の生瀬さんは妙にリアルでしたね。レポーターはあくまで「容疑者がSさんと断定されたわけではない」と繰り返していましたが、真犯人が逮捕されてから最後のワイドショーのシーンでは「短大卒の被害者が四大卒の容疑者に嫉妬していた可能性あり」という論調に持っていくなど、美人の被害者にも落ち度があるような言い方を見せて終わったのも興味深かったです。

 

全体を通したテーマ

SNSやTV番組という見せ方を使った*2、人の記憶の曖昧さ、悪意なき中傷、そして近年のネット炎上をリアルに描いた作品です。

あることないこと言い振らしているうちに、何が真実で何が嘘かすら分からなくなってしまう。

親友を守りたいという美談の盾のもと、フルネームやら個人情報を晒して結果的に本人をさらに追い詰める(実際は彼女を下に見ていた?という部分も含めて多分無意識)。

人々はSNS上で常に攻撃対象を探し、容赦なく叩きのめす(手のひら返しを含む)。

原作はどちらかというと読者に答えを委ねる余白がありましたが、映画の方はもう少し明示的です。文庫本の解説で、映画版の中村監督が言及している映画オリジナルのシーンのみが唯一美しく、救いがあるような作品でした。

 

心に引っ掛かった場面

個人的になぜか印象に残ったのが、中学時代に美姫が思いを寄せていて、骨折したサッカー部の男子のエピソード。原作ではもう少し細かく彼の心理描写が描かれていて、「サッカーが上手くてちょっとした有名人に近い人気者である自分が、(たとえそれが城野美姫であっても)クラスの誰かに嫌われているという状況が耐えられなかった」という部分。

大人になれば、多くの人が「全員が自分のことを好いてくれることはない」という事実を知り、受け容れていくのではないでしょうか。

その事実を中学生の彼が受け容れられなかったのはまだしも、もしかして大人になって今でも彼はそのメンタリティのままなのでは?と感じました。

「Sさんの闇を作ってしまったのは俺じゃないかなと、責任を感じています。」

自分は愛される存在であり、周囲の人々に影響を与える人物であると信じて疑わない人間の発言だと思いました。本作では実際に美姫に影響を与えていましたが、もし勘違いだった場合、こういう人も現実社会では面倒だなぁ…という意味で、登場人物ほぼ全員どこか変な作品と言えるかも知れません。

 

犯行シーン以外は特にエグいシーンもなかったので、気軽に見てみてください。

 

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*1:そこまでどころか、本作が映画初出演だったらしい!

*2:見せ方のテクニックという意味では、以前レビューした映画『search/サーチ』やその他多くの先駆け作品とは比較になりませんが。

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