元外資系OLの眼鏡

カナダ人と結婚5年目。カナダ・ケベック州モントリオール郊外在住。国際結婚のリアル/海外移住生活/日々の気づきなど、のびのび更新中。

映画『長いお別れ』を実家の母と観に行った

実家に帰った時、母と映画『長いお別れ』を観に行った。学校の校長先生まで務めた立派で厳格な父が、70歳の誕生日を境に認知症を発症してからの7年間を、妻と二人の娘、その周りの家族や恋人たちの生活とともに描く作品。

 

 

以下ネタバレありのため、未見の方はご注意ください。

 

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movies.yahoo.co.jp


還暦を過ぎた親と観る映画じゃないように思ったが、先日中野量太監督のインタビューを読んで観たいと思ったのだ。

死を描くのではなく、生を描いた作品なんです。

そんな内容だったと思う。

 

年齢とともに変わる死生観

昨今の悲しい事件の数々を耳にする度、今こうして生きていることが当たり前ではないという、当たり前のことを痛感させられる。

小さい頃やもう少し若い時は、それでも自分にはそういうこと(突然命が尽きること)は起こらないと思っていた。

今ももちろん出来る限り生きていたいと思うけど、その一方で昔よりも、死は万人に確実に訪れることを(少しは)理解できるような気がする。

そう考えれば、親が自分より早く旅立つことはとても悲しいことだけど、あらゆる死の形の中で最も幸せなパターンだと言える。いつかその日を迎える時のために、死は生の延長線上にあることを、少しでも明るい気持ちで捉えたい。

 

残される家族の生を描く 

前置きが長くなったけれど、前述のインタビューで監督が語っていた通り、本作は山崎努さん演じる父の老化を描く悲しいストーリーではない。

もちろん切なく胸が苦しくなる場面はたくさんあって、5, 6回は泣いた。でもそのうち数回は、その他の登場人物と自分を重ね合わせて流れる涙だった。

特に、竹内結子さん演じる長女は夫の仕事でカリフォルニアに住んでいる設定。親に何かある度すぐには帰ることができないもどかしさに、近い将来カナダ移住を予定している身として感情移入せざるを得なかった。 

他にも妻役の松原智恵子さん、次女役の蒼井優さんなど、改めて良い役者さんだなぁ〜と思わせる俳優陣の演技だった。

いくつになっても瑞々しく可愛い姉妹、彼女たちに負けない可愛らしさの母。その可愛さあってこその、最後の「馬鹿にしないでちょうだい」という厳しさには心打たれた。

他にもメリーゴーランドのシーンや、2回目のプロポーズ、ベタなんだけど……あかん、思い出しただけで泣きそう。

  

死に向き合うことは生に向き合うこと

レビューを見ていると、介護や認知症の美しい部分しか掬い取っていないという批判もある。

でも個人的には、辛すぎる展開が分かっていたらどうしてもこの手の映画は見ていられない。知らないよりは知っている方がいいのだから、少しでも事実に向き合うハードルを下げる作品の存在意義はあると思う。それに、予想以上にドキッとする現実も描いていた*1

親と過ごす時間は限られているからこそ、少しでも多く旅行に行ったり思い出を残そうと行動しているつもりだった。が、たぶんどれだけ努力しても、最後に「十分やった」とは思わないんだろうなぁ。その前提で、今ある幸せを大切にして愛と感謝を伝え続けることしか、結局できないんだろう。

万人に勧めるというわけではないが、家族についてちょっと立ち止まって考えてみたい方はぜひ劇場に足を運んでみてください。

 

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*1:蒼井優の「生娘じゃないんだから」のシーン、そこちゃんと映すんだと思った。

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